スペシャルコンテンツ

SPECIAL CONTENTS

「メディメッセージ」は、より良い医療環境の創出と医療の担い手づくりを目的として2008年から始まったイベントです。手術室を再現して実演する企画のほか、体験コーナーや現役医師のトークライブなどにより、地域の方々に医療の世界に楽しく触れていただく場として展開してまいりました。本年は新たな取り組みとして、学校出張型のプログラム「メディメッセージゼミ」を静岡県内の中学校にて開催いたしました。

新たな一歩となる出張型の
医療技術体験プログラム

2021年11月17日。静岡市葵区にある静岡北中学校には、いつもとまったく違う授業風景がありました。防護衣に身を包み、医療機器を手にした生徒たち。時には真剣に、時には笑顔で、一生懸命に医療機器を操作します。

開催されたのは「メディメッセージゼミ」。本物の医療技術に触れながら医療について学ぶ機会を提供してきた「メディメッセージ」の学校出張型プログラムです。

緊急事態宣言が解除されておよそ1カ月半。幾度となく開催の是非を検討し、新型コロナウイルスの感染予防対策や運営体制を見直しながら、この日を迎えることができました。

中心となって運営しているのは、協和医科器械の社員たち。自らも黄色い防護衣を着て対応にあたります。過去数年にわたってメディメッセージを経験している社員もいれば、初めて運営を経験する社員も。この日のために入念なリハーサルを行い、それぞれの想いを胸に医療機器の仕組みや操作方法を教える役割を担いました。

協和医科器械のCSR活動からスタートした「メディメッセージ」は、地域医療の担い手づくりという大きな課題に向かって、医療団体や行政機関ともに取り組む活動へと発展を遂げていきました。しかし、新型コロナウイルスによってイベントの開催は2年にわたって延期。この状況の中で今できることは何かを考え、以前から計画されてきた出張型プログラムの実現に至ったのです。

現役医師の想いを直接届ける
「ドクタートークLIVE」

医療技術の体験に先立って行われたのが「ドクタートークLIVE」です。新型コロナウイルスの感染予防対策を考慮してこの会場で聴講するのは3年生のみ。1、2年生は各教室からオンラインでLIVE視聴をすることになりました。

会場でコーディネーターを務めていただいたのは、メディメッセージの実行委員としてもご尽力いただいている小林利彦先生。静岡県医師会の副会長として、また浜松医科大学医学部附属病院医療福祉支援センターのセンター長として、静岡県の医療環境改善や担い手づくりのためにご活躍されています。

テーマは「医療分野を担う次の世代の人たちへ」。ドクターだけでなく、医療を担う様々な職業に関心を持ってほしいという小林先生の想いが反映されたテーマです。

小林先生から投げかけられる問いに答えていただくのは、スクリーンの向こうにいる浜松医科大学の先生方。指導医の大橋 温先生(腎臓内科)、研修医2年生の神谷 亮先生、加藤奈々子先生の3名です。静岡県で唯一の医科大学とオンラインでつなぎ、トークLIVEが進行されていきました。

企画の段階からこだわってきたのはLIVEであること。新型コロナ禍における医療従事者の方のリスクを考えると学校への直接の訪問は避けるべきという判断をしながらも、動画の再生やパワーポイントによる解説ではなく、現役医師の生きた声をそのまま届けることを大切にしたのです。

これまで大規模な会場で大勢のお客様を集めて行われてきたトークLIVEですが、急速に普及したオンライン技術によって、こうした新たな可能性が広がりました。

生徒たちの質問に答えながらの進行

生徒たちの心に残り、将来に影響するような感動体験を提供したいという思いから、生徒たちを主役にしたトークLIVEの進行が準備されてきました。

生徒たちには事前に質問シートが配布され、指導医の先生、研修医の先生に向けた質問が寄せられました。「一日どのくらい勉強しましたか?」「いつ頃、どのようなきっかけで医師になろうと思いましたか?」のように多くの生徒が記入していた質問もあれば、「将来医療系に進みたいのですが、血を見るのが苦手です。それでも医療系に進めますか?」のように、ぜひ答えてみたいと思えるようなユニークな質問もありました。

研修医の神谷先生は、親が医師であるという境遇の中で、医療系のテレビドラマから大きな影響を受けて医師を志すようになったとのこと。テレビドラマの話は生徒たちの共感を得ていました。加藤先生からは、文系の大学に進学したにもかかわらず、あるきっかけによって医師を目指して医学部を受験することになった貴重な体験をお話しいただきました。

指導医の大橋先生やコーディネーターの小林先生からは、医師という職業のやりがいや心の持ち方など、希望にあふれるメッセージをいただきました。先生方の声はしっかりと生徒の心に届いたようです。

防護衣を身につけて気持ちも医療従事者に

先生たちのエピソードやメッセージを聞いて気持ちが高まったところで、医療技術の体験へと向かう生徒たち。協和医科器械の社員が、各体験会場へと生徒たちを案内していきます。最初に体験するのは防護衣の着用。感染予防対策の徹底であると同時に、防護衣を身につけるということ自体が、医療現場で働く体験のひとつになります。

本物の医療機器に触れて、体験から学ぶ。これも、メディメッセージが大切にしてきたことのひとつです。しかし、コロナ禍において体験型のプログラムを実施するためには感染予防対策を施さなければなりません。最善の対策は何か。人数分の防護衣一式を用意し、医療現場に近い環境を再現するという判断に至りました。直接接触することはもちろん、医療機器に触れる間接的な接触においても、感染予防対策になります。2回のワクチンの接種を終えていること、PCR検査で陰性が証明されたことをスタッフの条件にするなど、徹底した感染予防対策が行われました。

外科医のすごさを実感した縫合と
腹腔鏡手術の体験

ハイグレード教室と呼ばれる6Fの広い教室に設置されたのがオペの医療技術を体験するコーナーです。この会場には縫合体験と腹腔鏡手術のトレーニング体験が用意されました。

多くの生徒たちが難しかったとコメントしているのが縫合。皮膚に見立てたキットを使い、手術に使用される本物の糸と針を使って縫い合わせていく体験です。小林先生も、会場内をまわりながら外科医としての経験を生徒たちに伝えていきます。その手早い動きを見て驚く生徒たちの表情はとても印象的でした。

腹腔鏡手術の体験に使用されたのは、ラパロトレーナーと呼ばれるトレーニング用の装置です。生徒たちが行ったのは、両手に鉗子を持って、モニターに映し出される映像だけを見てビーズを移すという作業。体験を通じて、腹腔鏡手術と縫合手術の違いは何か、それぞれにどのようなメリットやデメリットがあるのかを学んでいきます。

各コーナーが工夫を凝らし、限られた時間の中でも全員が体験できるようにローテーションを行いました。上手く操作できた生徒もいれば、思い通りに鉗子を操作できない生徒もいましたが、医師という仕事への関心も深まっていったようです。

本物の内視鏡と超音波検査装置を使った
画像診断技術の体験

1Fの図書室に用意されたのは4台の内視鏡システムと5台の超音波検査装置。医療機器がずらりと並んだ図書室は、まるで医療技術のトレーニングルームのようです。運営するスタッフにも、生徒たちがワクワクしている様子が伝わっていきます。

内視鏡が設置されたコーナーには、胃のモデルを使った操作体験、大腸のモデルを使った操作体験、水を使って創部の血液などを洗い流すウォータージェットと言われる機能の操作体験が用意されました。

真っ暗な胃や大腸の中を、内視鏡のカメラ映像だけを見ながら進んでいく操作はとても難しく、生徒たちの表情は自然に真剣になっていきます。ドクターがいかに難しい操作を行っているのかを知り、内視鏡を使ってどのような検査や処置を行うことができるかなどを、体験を通じて学んでいきます。

超音波検査装置では胎児のモデルが用意され、産婦人科などで行われる検査を体験することができました。内視鏡などのカメラとは異なり、超音波の信号を映像に変えて表示するのが超音波検査装置。ゼリーなどを使ってその仕組みを説明することで、医療機器に興味を持った生徒も多かったようです。

現在の高度な医療技術を体感していただくために、4Dの超音波検査装置によるデモンストレーションも行いました。生徒たちにとって赤ちゃんの姿が映るエコーは身近に感じられる医療機器です。体験する生徒たちとのコミュニケーションを通じて、医療に関わる様々な技術や職業に関心を持ってもらうきっかけができたという手ごたえを感じることができました。

メディメッセージのテーマは
「みんなの力を、医療の力に。」

今回受講したのは、静岡北中学校の210名の生徒たちです。しかしこの授業の開催は、210名のためだけではありません。なぜ「メディメッセージゼミ」を開催するのか、そこにはどのような医療従事者の想いがあるのか、体験した生徒たちは何を感じたのか。この日の出来事を広く社会に伝えることによって、よりよい医療環境を実現するというミッションに取り組まなくてはなりません。

メディメッセージゼミを終えた静岡北中学校の3年生

受講した生徒たちに配られたメディメッセージのバッジ

2008年よりスタートを切ったメディメッセージには、持続可能な医療環境の実現へとつながる理念があります。「みんなの力を、医療の力に。」を合言葉に、医療にできること、そして健康的に生きていくために一人ひとりが取り組むべきことは何かを考えるきっかけを提供し続けることで、今後もよりよい医療環境づくりに貢献していきます。

メディメッセージゼミの運営スタッフ

参加した協和医科器械社員の感想

  • 縫合体験のコーナーを担当させていただきました。初めての縫合体験に苦戦している生徒も多かったようですが、「この作業を実際に対人間で行っている医者は本当にすごい!」と関心を寄せている生徒たちがとても印象的でした。生徒たちにとっても良い経験になったと思いますが、私自身にとっても、良い経験になりました。
    小泉 公香(本社:人事総務部)

  • 腹腔鏡手術のコーナーを担当しましたが、生徒たちはとても熱心に取り組んでくれました。執刀医と助手を決めて指示を出し合い、協力して手術を進行する難しさを体験しているグループもいました。脳外科医に興味があるという生徒さんは、今回のメディメッセージゼミでさらに医療に興味が湧いたと言ってくれました。
    「なぜ把持鉗子に溝があるのか」「なぜハサミがカーブしているのか」といった様々な疑問をストレートに投げかけてくる生徒たちの質問に答えるうちに、日々の業務をこなすにつれて気に留めなくなってしまっていた医療器具の様々な工夫に改めて気づかされました。私自身にとっても貴重な経験になりましたし、楽しかった経験として、生徒たちの心に残ってくれたら嬉しく思います。
    山本 奈央(焼津支店:エリア営業部)

  • 胃や腸のモデルを使った内視鏡検査の体験を担当させてもらいました。生徒たちはとても熱心で、内視鏡の説明もしっかり聞いてくれました。私が普段取り扱っている医療機器に興味を持ってくれたことがとても嬉しかったです。
    このメディメッセージによって医療に興味を持ち、医療業界に進んでくれる人がいたら、これほど嬉しいことはありません。微力ですが人生のきっかけづくりのお手伝いができたかと思います。
    家納 浩平(本社:内視鏡営業部)

  • 超音波検査装置のコーナーを担当しました。妊婦さんの模型を使って赤ちゃんをエコーで映し出すだけでなく、フルーツの入ったゼリーなども使って遊び感覚も取り入れながら、超音波検査装置の使い方を体験してもらいました。
    「このフルーツの写真ほしい!」と言いながら嬉しそうに体験をする生徒たちの表情をたくさん見ることができて、私自身もとても楽しかったです。医師をはじめ、臨床検査技師や放射線技師という仕事が将来の選択肢の一つになってくれたら嬉しいです。
    小野 麻代(本社:イメ-ジング部)

体験をした3年生の主な感想
(レポートより一部抜粋)

  • 今日、先生や研修医の方などもおっしゃっていたように、1日に十時間以上という長い時間の勉強が必要なようです。今回の体験でそれをする覚悟ができました。

  • 今まで医療技術にそこまで興味はなかったけれど、今日の体験でとても興味がわきました。自分で医療について調べたいです。

  • 「人と話すのが得意な人」などが向いていると分かり今進路を考えている中、選択肢の1つに入れてみようと思った。医者は血を見る(手術)などが全てではなく、いろいろな種類の仕事があり興味がわいた。

  • 医師になってよかったことで「ありがとう」や退院していく患者さんを見るのが嬉しいと言っていたから、やっぱり感謝されることだったり自分が見ていた患者さんが元気になったらよかったって思えるんだなって思った。改めて病院で働きたいと感じた。

  • 自分の質問もとりあげてくださり、自分も医療の道に進みたいという気持ちがより強まった時間でした。トークライブで医療に携わっている人の裏側を知ることができた気がして、いままで知らなかった支えを感じることができました。

  • 今回はビーズを移す作業のときや、終わった時にインタビューをされたのでとても恥ずかしかったです。今日、メディメッセージをして、医者の大変さや自分も医者になってみたいなという気持ちが少しながら強くなったと思いました。

  • 普通に縫うのとは全く別物で上手くいかず、ずっと先生がついていてくれてよかったです。医療に関心が持てるようになりました。

  • 医者は体力勝負だと言っていたのでしっかり部活をやって体力作りをして、たくさん寝ます。今日は、貴重な体験ができてよかったです。医者は無理かもしれないけれど、医療にかかわる仕事につきたいです。

メディメッセージの活動理念
  • 医療機関と地域の皆さまとが対話できる機会を積極的につくります。
  • 医療スタッフの皆さまの努力と情熱を地域に伝え、理解を図ります。
  • 地域の皆さまの声を医療関係者に届け、医療環境の改善に努めます。
  • 医療環境のあるべき姿を見つめ、地域社会に向けて啓発を行います。
  • 医療技術情報を地域に発信し、よりよい医療環境づくりを目指します。
  • 医療に関わる仕事の大切さを伝え、この分野の担い手をつくります。
メディメッセージゼミ 開催概要
●開催日

2021年11月17日(水)

●プログラムの内容

・ドクタートークLIVE
・オペ室の医療技術体験(縫合/腹腔鏡手術)
・画像診断の医療技術体験(内視鏡/超音波検査)

●会場

静岡北中学校(静岡市葵区瀬名五丁目14番1号)

●主催

メディメッセージ2021実行委員会
静岡県/一般社団法人静岡県医師会/公益財団法人ふじのくに医療城下町推進機構ファルマバレーセンター/協和医科器械株式会社/株式会社オズ(現 株式会社アルバース)

●事務局

協和医科器械株式会社(静岡市駿河区池田156番地の2)