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新型コロナが「5類」に見直されるとどう変わるのか?

新型コロナが「5類」に見直されるとどう変わるのか?

公開日:2023.01.20

新型コロナウイルスの感染法上の位置づけを今春を視野に現在の2類相当から5類に見直す方向で検討が進められています。現在流行中のオミクロン株がこれまでの株と比べて重症化率や致死率が低下したことなどが理由として挙げられています。5類に移行した場合の行動制限や医療費負担などはどう変わるのか、横たわる課題も含めてまとめます。

病原体の危険度に応じて感染症を5つに分類

感染症法は、ウイルスや細菌を症状の重さや感染力の強さに応じて1〜5類に分け、国や自治体が実施できる措置の内容を決めています。1類は感染すると生命の危険リスクのあるエボラ出血熱やペスト、2類は重症化リスクや感染力の高い結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)、3類は場合により生命に影響を与えるコレラや腸チフス、4類は主に動物を介して人に感染する黄熱や鳥インフルエンザ、5類は国が感染症の発生動向を調査し、必要な情報を提供し発生・蔓延を防止すべきものとして季節性インフルエンザ、性器クラミジア感染症などが該当します。新型コロナウイルスは当初は特性が明らかでなかったため「2類相当」とされましたが、2020年2月に法改正で5つの類型に入らない「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられました(わかりやすい呼称として「2類相当」が使われています)。2類は自治体による就業制限や入院勧告などが可能となります。新型インフルエンザ等感染症ではさらに外出自粛や健康状態の報告の要請などの措置ができます。一方、5類はこれらの枠外となります。

5類では一般医療機関の受診や入院が可能

新型コロナの現在の2類相当という位置づけでは、新型コロナ患者を受け入れる医療機関は感染対策がとられている「発熱外来」などに限られ、入院は感染制御が可能な設備のある指定医療機関となっています。また、自治体は入院勧告、就業制限、外出自粛、健康状態の報告の要請などが可能です。一方で、検査・治療費、ワクチン接種は無料(公費負担)となっています。5類に見直せば、こうした措置は季節性インフルエンザ並みに変更され、入院勧告、就業制限、外出自粛、健康状態の報告などの要請がなくなり、一般医療機関の受診や入院が可能となります。ちなみに、療養期間は軽症の新型コロナの場合発症日から7日経過し、かつ、症状軽快から24時間経過とされていますが、季節性インフルエンザの場合は法律上の就業制限はありませんが、発症後5日間が経過しかつ解熱後2日間が目安となっています。また、屋内での着用を求めているマスクも、発熱などの症状がある人や感染予防の必要がある人などを除いて原則不要とすることも検討されています。医療費は保険診療となり、自己負担が発生します。当面は公費での負担は継続され、段階的に廃止する方針とされます。また、感染者数の集計は、これまでの全数報告から特定の医療機関からの報告に基づく定点把握となり、行政などの負担軽減につながるものと思われます。

従来の株よりも重症度が低いオミクロン株

新型コロナの類型見直しを視野に入れて検討を開始した理由としては、現在流行のオミクロン株が2021年夏に流行したデルタ株よりも重症化率、致死率ともに低下したことが挙げられます。60歳以上の重症化率、致死率は第5波(デルタ株)の4.72%、3.71%から第7波(オミクロン株)は0.14%、0.475%とそれぞれ大幅に低下しました。また、オミクロン株が流行した2022年7〜8月の80歳以上の重症化率は1.86%、致死率1.69%で、季節性インフルエンザの2.17%、1.73%をそれぞれ下回りました。

感染者が検査や治療を受けなくなる可能性も

新型コロナが5類に見直されることによる課題としては、①治療費が公費で負担されなくなり、感染者が検査や治療を受けなくなる可能性がある②ワクチン接種の際に自己負担が発生すれば接種率が低下する可能性がある③保健所が健康管理をしなくなるため、容体が急変する患者を把握できなくなる恐れがある④幅広い医療機関での診療や入院が可能となるが、動線分離が難しい医療機関が少なくなく、また実際には医療機関の判断によるので、どれだけ協力が得られるか不明、などです。

新型コロナの類型見直しは、ウイルスの評価のみならず、医療費の負担のあり方なども関係しており、今後の議論や判断の行方が注目されます。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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