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コロナ患者の重症化を予測する検査キットで早期治療が可能に

コロナ患者の重症化を予測する検査キットで早期治療が可能に

公開日:2021.04.22

新型コロナウイルス感染症患者の重症化リスク判定を補助する検査キットが先ごろ保険適用され、臨床で広く使えるようになりました。重症化の症状が出現する数日前に血液中で濃度が上昇するたんぱく質を調べるもので、重症化を事前に特定することで、早期治療につながることが期待されます。

軽症から急激に容体が悪化する例も

60歳以上の新型コロナウイルス感染症患者の8.5%は、重症化により酸素吸入能力が低下し人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)が必要になるといわれます。感染拡大の要因の1つとみられているのが変異ウイルスですが、大阪府の60歳以上の変異ウイルス感染者の重症化率は18.6%と一段と高くなっています。

新型コロナウイルス感染症は、発症初期は軽症とみられる症状から急激に容体が悪化し、重症化するケースも散見されています。感染力の強い変異株の急拡大などの影響によりコロナ患者が増え医療現場が逼迫している現状において、重症化リスクを有する患者を早めに特定することは、早期治療による回復につなげられる可能性があります。

シスメックスによって開発された新型コロナウイルス感染症患者の重症化リスク判定を補助する検査キット「HISCL IFN-λ3試薬」は、今年2月に保険適用を受けました。同キットと全自動免疫測定装置を用いて血清中のIFN-λ3を測定することで、コロナ患者の重症化リスクを判定します。測定は、2ステップサンドイッチ法を用いた化学発光酵素免疫測定法で行われます。新型コロナウイルス感染症患者では、重症化を示す酸素吸入能力が低下する前に血液中のIFN-λ3の濃度が高まるとされ、基準値以上を陽性と判定します。臨床試験による診断精度は、感度が88.9%、特異度が84.6%となっています。検査に要する時間は最短で約17分で、院内に機器がある場合は1〜2時間で結果が出るとされます。

対象はコロナ陽性の無症状、軽症、中等症Ⅰの患者

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第4.2版(2021年2月19日発行)

対象患者は、新型コロナウイルス感染症患者の確定診断患者のうち、「呼吸不全管理を要する中等症以上の患者を除く」とされています。呼吸不全管理を要する中等症とは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引きに記載されている重症度分類の中等症 II (Sp0₂≦93%)に該当します。

つまり、新型コロナウイルス陽性となり、①無症状、②軽症(SpO₂≧96%)、③中等症Ⅰ(93%<Sp0₂<96%)に対して、定期的に血清中のIFN-λ3を測定することが可能となります。検査1回につき340点の算定。同一患者に対して、検査を複数回実施することが想定され、2回以上実施する場合は、前回の検査結果が基準値未満であることを確認する必要があります。

臨床現場では、入院中や宿泊療養中などの対象者に定期的に検査を行い、IFN-λ3の数値をチェックし、基準値以上の場合は入院勧奨や人工呼吸器の装着などの処置を施すことになります。

重症化した場合は、早めに治療することで回復も早まることが確認されています。重症化しうる患者の治療を遅延させないことが大切で、早めの治療介入を可能にする重症化予測検査キットの役割は大きいものがあると思われます。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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