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画像診断を変革するAIテクノロジー

画像診断を変革するAIテクノロジー

公開日:2021.12.09

X線やエコー、MRIなどから診断を行う画像診断の分野では人工知能(AI)の実用化が早く、診断の質や作業効率化の向上などでAIの活用が期待されています。本邦でも画像の解析・診断支援の医療機器として医薬品医療機器等法の承認を得たソフトウェアも登場するようになってきました。

分析精度が飛躍的に向上

日本は世界有数のCT、MRI保有国ですが、人口あたりの画像診断スキルを有する放射線医師数はOECD加盟国の中で最下位とされます。そのため、1人の放射線医が担当する読影数が多く、大きな負担となっています。また、医師が少ない過疎地域では画像診断が十分にできないという課題もあり、AIによる画像診断の作業負担の軽減などの取り組みが行われています。

AIによる画像診断システムに用いられるのが畳み込みニューラルネットワーク(CNN)と呼ばれる画像認識の学習モデルで、近年、CTやMRIの技術革新が進み、高解像度の画像データを大量に蓄積できるようになり、機械学習への利用が可能となったことで分析精度が飛躍的にアップしました。画像診断医の判断を支援する目的が主ですが、近い将来には、疾患の早期発見などにも利用可能と考えられています。

内視鏡画像診断の支援ソフトなどが相次いで登場

本邦での画像診断を支援するAIについては、サイバネットシステムが開発した内視鏡における病変検出用として2020年1月に国内で初めて医薬品医療機器等薬機法の承認を得た内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-EYE」がオリンパスから発売されました。大腸の内視鏡画像をAIが解析し、内視鏡検査中にリアルタイムでポリープやがんなどの病変候補を検出するものです。富士フイルムも内視鏡検査にAI技術を用いて、ポリープやがんを検出できるシステムを開発し、内視鏡診断支援機能「CAD EYE」として発売しています。

エルピクセルは、脳のMRI画像をAIが解析し、脳動脈瘤を検出する医用画像解析ソフトウェア「EIRL aneurysm」を発売。2mm以上の脳動脈瘤候補を自動検出しマーク表示することで、診断精度の向上が図れるとしています。同社は胸部X線画像から肺結節候補域を検出するAIソフトウエア「EIRL X-Ray Lung nodule」も発売しています。

シーメンスヘルスケアが開発し、発売中の「AI-Rad Companion」は、肺結節候補の検出を含む胸部CT検査の読影支援、臓器の自動セグメンテーションと輪郭抽出、脳の形態計測などに対応しています。

このほかAIメディカルは、AIを活用した胃病変の腫瘍性・非腫瘍性を判定する内視鏡診断支援システム「胃がん鑑別AI」と、検査中にリアルタイムでがん病変を検出するシステム「胃がん検出AI」を開発し、「胃がん鑑別AI」の製造販売承認を今年8月に申請しました。承認されれば、AIを活用した胃領域の内視鏡診断支援システムとして世界初となります。

国もAIの本格導入に向けて支援

厚生労働省は「保健医療分野 AI 開発加速コンソーシアム」を設置し、これらの医療分野におけるAIの本格導入に向けた検討を進めています。工程表によると「画像診断支援」では、今年度から医療機器メーカーへ教師付画像データ(問題と正解がセットとなったデータを使用しAIに学習させる)の提供と、AIを活用した画像診断支援プログラムの開発を目指すことにしています。

AIによる画像診断の精度向上は著しいものがあり、今後は画像診断医の負担軽減のほか、医師不足の地域でAIが画像診断を行うなど保険医療の水準向上が期待されます。

厚生労働省「保健医療分野 AI 開発加速コンソーシアム 議論の整理と今後の方向性(令和元年6月28日策定)を踏まえた工程表について」より

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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