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適切な飲酒量や飲み方とは

適切な飲酒量や飲み方とは

公開日:2022.12.07

多量飲酒による健康被害を防ぐために厚生労働省は適切な飲酒に関するガイドラインを作成し、来年にも公表する方針です。ガイドラインでは年齢や体質などに応じた適切な飲酒量や飲み方を示すことにしています。そこで、これまでのデータを踏まえて健康被害につながるリスクの高い飲酒習慣や適切な飲酒量・飲み方、また、問題飲酒を早期に発見できるスクリーニングテストなどについてまとめます。

多量飲酒は肝障害やがんを発症

適量の飲酒であれば、体内の血行を良くし動脈硬化を予防するほか、精神的ストレスの解消にも役立つとされます。しかし、長期間の多量な飲酒は生活習慣病につながり、肝障害、膵炎、脂質異常症、高尿酸血症などさまざまな病気を引き起こします。とりわけ、アルコールの代謝を担っている肝臓には、大きな負担をかけます。肝臓は沈黙の臓器といわれ、症状が出現した時には重症化している場合が多いとされます。また、多量な飲酒は、口腔がん、咽頭・喉頭がん、食道がんなどを発症しやすくすることがわかっています。少量の飲酒で顔が赤くなる人はアルコールの分解が遅く、がんや臓器障害を起こしやすいといわれています。女性は男性よりアルコールの分解速度が遅く、少ない飲酒量で臓器障害などが起こりやすいです。

厚生労働省の研究班によると、何らかのアルコール関連問題を有する人は国内で654万人、アルコール依存症者は80万人、依存症者とその予備群を含めると440万人、アルコールによる年間死亡者数は約3万5,000人と推計されています。飲み過ぎによる社会的損失は見積もれる範囲だけでも年間4兆1,483億円に達しているともいわれます。

1日あたりの純アルコール量が20g程度を推奨

厚生労働省が健康のための目標をまとめた国民健康づくり運動「健康日本21」(第2次)では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量を1日当たりの純アルコール摂取量が男性で40g、 女性で 20g 以上としています。そして、節度ある適切な飲酒量としては、1日あたりの純アルコール摂取量が20g程度を推奨しています。ただし、高齢者やお酒を分解する力が弱い人はより少量が適量としています。

短い時間で大量のアルコールを飲むと肝臓でのアルコール代謝が追いつかず、血中アルコール濃度が急激に上昇し、命に関わる場合があります。これが急性アルコール中毒です。血中アルコール濃度が0.4%を超えると泥酔状態となり、意識レベルが低下し呼吸や循環を司る脳がダメージを受け死に至るリスクが高まります。また、飲酒量や時間など自らコントロールできなくなるアルコール依存症になると、飲まないと手の震えや頭痛など禁断症状が出現します。

問題飲酒を早期に発見できるスクリーニングテスト「AUDIT」

飲酒量の多い人で、アルコール依存症や予備群の心配があるかどうかを簡単に確認できるスクリーニングテスト「AUDIT」があります。世界保健機関(WHO)がスポンサーとなり作成されたもので、全部で10項目の設問からなり、各項目の合計点で評価します。飲酒量について、純アルコール換算で10g=1ドリンクという単位が使われています。7点以下は問題なし、8〜14点は問題飲酒、15点以上がアルコール依存症疑いとなります。アルコール依存症が疑われた場合は、専門医療機関の受診が必要と考えられます。

飲酒量を減らす工夫としては、①ゆっくり飲む②飲む量をあらかじめ決めておく③食べながら飲む④はしご酒を控える⑤「休肝日」(週に2日程度)を設ける⑥強いお酒は水や炭酸水と併せる⑦ノンアルコールビールなどを代わりに飲む、などが挙げられます。

諸外国では飲酒量や飲み方についてのガイドラインがまとめられています。例えば、米国は「1ドリンク=純アルコール14g」で、男性が「2ドリンク/日以下」、女性が「1ドリンク/日以下」、オーストラリアは「1ドリンク=純アルコール10g」で、「男女とも10ドリンク/週未満」など各国の違いがあります。体格の違いを考慮すると、日本が比較的低い値なのは理にかなっているといえます。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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