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アストラゼネカ製ワクチンをめぐる最近の動き

アストラゼネカ製ワクチンをめぐる最近の動き

公開日:2021.08.06

新型コロナのデルタ変異株の感染が拡大するなか、厚労省はアストラゼネカ製ワクチンについて、原則40歳以上を予防接種法に基づく接種対象とすることを決めました。今年5月に特例承認されていた同ワクチンは極めて稀に生じる血小板減少に伴う血栓症(TTS)の副反応が海外で報告されていたことから当面使用を見送っていましたが、40歳以上はベネフィットがリスクを上回ると判断しました。そこで、アストラゼネカ製ワクチンをめぐる最新の動きをまとめてみました。

デルタ株では7割弱の発症予防効果

アストラゼネカ製ワクチンはチンパンジーのアデノウイルスをベクターとして用いたもので、2〜8度で保管可能なため取扱いやすい点が特長です。1回の接種後、4〜12週間の間隔で2回目の接種を受けますが、治験の結果から効果を最大限に得るには8週以上の間隔を空けて接種するのが望ましいとされます。新型コロナの発症予防効果は76%と報告されていますが、今年7月に英イングランド公衆衛生庁がThe New England Journal of Medicineに報告した研究によると、アストラゼネカ製ワクチンを2回接種すれば発症予防効果はデルタ株では67.0%、アルファ株では74.5%となりました。また、別の研究で同公衆衛生庁がデルタ株の感染者約1万4,000人例を調査したところ、アストラゼネカ製ワクチンの2回接種を終えた人ではデルタ株の感染後の入院予防効果は92%だったことが確認されています。

アジア諸国の多くは年齢制限なし

アストラゼネカ製ワクチンをめぐっては、海外でも年齢制限を設けて使用する動きがみられます。カナダ、ギリシャでは30歳以上、英国では40歳以上、フランス、ベルギーなどでは55歳以上、ドイツ、イタリア、スペイン、オランダなどでは60歳以上に限って接種を勧めています。一方、オーストリア、クロアチア、チェコなどでは年齢制限を設けていません。アジア諸国でも50歳以上としている韓国を除いて多くが年齢制限なしです。

海外で年齢制限を設けている理由としては、ワクチン接種後にTTSが疑われる症状が報告され、それが若年者に多く発生している傾向があることが挙げられます。血栓の発症が非常に稀なため、被験者を対象とした治験ではなく、実際に大勢の人に接種してようやく数字に表れた可能性もあります。TTSの報告件数は10万回接種あたり18~29歳が0.9件、30代が1.1件、40代が2.2件、50代が1.5件、60代が0.3件、70代が0.5件、80代以上が0.7件となっています。1回目の接種後は100万回あたり14.8件、2回目では同1.9件の割合で報告されています。

期待されるブースター効果

オックスフォード大学の研究では、ブースター(追加免疫)接種として3回目にアストラゼネカ製ワクチンを接種した場合に、他のワクチンと比較して高い水準の抗体が生成され、予防効果が確認されました。アストラゼネカ製ワクチンを2回接種後ファイザー製ワクチンを接種した人は、ファイザー製を2回接種した人とほぼ同じ抗体レベルでしたが、ファイザー製を2回接種した後にアストラゼネカ製を接種した人は、アストラゼネカ製を2回接種した人よりも抗体値が約5倍高かったといいます。

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アソースナビ編集部

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