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献血・輸血の仕組み

献血・輸血の仕組み

公開日:2023.10.30

医学が発達した今日でも、血液を人工的に造ることはできません。病気や怪我の治療のために輸血用の血液は不可欠であり、それは人々の日々の献血に支えられています。そこで、献血と輸血の仕組みについて紹介します。

献血には全血献血と成分献血がある

献血は、病気や怪我の患者の治療で主に輸血として使われています。災害や事故、手術などで大量出血した患者に対して、新鮮な血液を供給することで生命を維持します。また、がんや白血病、貧血、消化器系、循環器系の病気などの治療にも輸血が必要となります。さらに、出産時の合併症や早産児への対応にも輸血は不可欠です。

血液を提供できる年齢には制限があり、概ね16歳から69歳となっています。献血には、全血献血と成分献血の2種類があります。全血献血には400mL献血と200mL献血があり、血液中のすべての成分を献血します。健康状態や体重など対象者の条件によっては200ml献血が適用される場合もありますが、多くの場合400ml献血が推奨されています。これは、たとえ同じ血液型であっても、複数の血液を輸血することにより患者さんが副作用を起こす可能性があるためです。それを最小限に抑えるため、より少人数の血液を使用することが望ましいとされています。一方、成分献血には血小板成分献血と血漿(けっしょう)成分献血があり、成分採血装置を使用して血小板や血漿といった特定の成分だけを採血し、体内で回復に時間のかかる赤血球は再び体内に戻す方法です。成分採血は身体への負担も軽く、多くの血漿や血小板の献血が可能という特長があります。

献血者数は若年層を中心に減少傾向

献血者数は減少傾向にあります。厚生労働省や日本赤十字社によると、1990年代には年間600万人以上いましたが、2017年度は約473万人と減少。少子高齢化なども影響し、特に若年層を中心に減少しています。
全国の献血ルームなどで献血された血液は日本赤十字社のブロック血液センターに届けられて血液製剤となり、都道府県赤十字血液センターを通して医療機関に届けられます。

また献血は、血液を提供した側の人の病気の早期発見にも役立ちます。献血した血液は梅毒、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)、肝炎などの検査対象となり、異常が認められた場合、希望者に告知されます。

血液は長期保存が難しい

献血された血液はそれを必要とする医療機関に届けられ患者に輸血されます。主なプロセスは以下の通りです。
①献血者から血液を採取し、必要な検査を行います
②献血から受け取った血液を成分別に分離し、赤血球、血小板、新鮮凝固因子などを取り出します。
③患者の状況に応じて、必要な血液成分を輸血します。

血液には生きている細胞が入っているため、長期保存ができません。保存期間は、「赤血球」が採血後28日間(保存温度2〜6℃)、「血小板」が採血後4日間(保存温度20〜24℃)、「血漿」が凍らせて採血後1年間(保存温度−20℃以下)、「全血」が採血後21日間(保存温度2〜6℃)となっています。

宗教上の理由による輸血の拒否もあり得る

輸血には患者本人の同意が必要であり、宗教上の理由による輸血の拒否もあり得るとされます。このため、2008年2月、関連5学会などが合同で「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」を作成し、患者の年齢や状況別に現場での対応方法をまとめました。現在、多くの医療機関は、このガイドラインを基に、医療機関のポリシーに応じて「相対的無輸血」(患者本人の意志を尊重して可能な限り無輸血治療に努力するが、輸血以外に救命手段がない事態に至った時には輸血を行うという立場・考え方)、「絶対的無輸血」(患者本人の意志を尊重し、たとえいかなる事態になっても輸血をしないという立場・考え方)のいずれかを選択しています。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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