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骨髄移植の仕組み(1)移植を必要とする病気、ドナーの条件・登録者数、マッチング

骨髄移植の仕組み(1)移植を必要とする病気、ドナーの条件・登録者数、マッチング

公開日:2023.11.27

骨髄移植は、生命をつなぐ役割を担う医療プロセスであり、多くの人々の命を救う可能性を秘めています。そこで、骨髄移植の仕組みを2回にわたってまとめます。第1回目は、移植を必要とする病気、ドナーの条件・登録者数、マッチングについて紹介します。

骨髄移植を必要とする病気

血液は、体内で酸素や栄養素の運搬、老廃物の排出、感染の防御など多くの重要な役割を果たしています。これらの重要な役割を担う血液をつくり出すのが、骨の内部にあるスポンジ状の組織である骨髄です。骨髄には、赤血球、白血球、血小板の3種類の血球をつくる造血幹細胞が豊富に含まれています。造血幹細胞は、細胞分裂を繰り返しながら、赤血球、白血球、血小板などに分化していきます。しかし、造血幹細胞に異常が生じると、正常な血液が生成されなくなり、血液疾患が発症します。代表的な血液疾患には、白血病や再生不良性貧血、悪性リンパ腫があります。血液疾患の治療法には、放射線療法や抗がん剤の投与が一般的ですが、造血幹細胞移植も有効な治療法です。この移植において、病気に冒された異常な造血幹細胞を健康なものに置き換え、正常な造血機能を回復させます。骨髄移植は、このような治療の代表的な方法の一つです。

ドナーの条件・登録者数

骨髄移植に適したドナーは、年齢が18歳以上から54歳以下で、健康状態が良好な人です。また、体重も男性45kg以上、女性40kg以上が必要とされます。骨髄移植が必要となった場合、血縁関係のある家族がドナーになることも多いですが、適合しないなどさまざまな事情で家族以外のドナーに骨髄提供を受けることがあります。患者と血縁関係のないドナーとの仲介役をする組織が骨髄バンクです。骨髄バンクは1992年にドナーと患者登録の受付を開始し、2019年にはドナーの年間新規登録者数が過去最多の5万9,994人となりましたが、2020年以降コロナの影響もあり、年間新規登録者数が減り、2022年は3万3,132人でした。現在は40代以上の登録者が半数以上を占めており、さらにドナーとなれるのは55歳までであるため、今後のドナー不足が懸念されています。

骨髄バンクのドナー登録は、献血ルームや血液センター、保健センターなどで受け付けています。腕から2ml採血をしてHLA型(白血球の型)を調べ、そのデータが登録されます。登録データを用い、患者さんとの照合検索が行われ、提供候補者の一人として選ばれたときに連絡が来る流れです。

マッチングの難しさ

骨髄移植には、患者とドナーの白血球の型(HLA型)が適合する必要があります。HLA型の適合率は、兄弟姉妹で4人に1人(25%)と言われています。血縁関係がないと、数百人から数万人に1人の確率とされています。さらに、適合してもドナーの都合や健康状態が整わなければ提供できないため、移植を待つ患者のうち、実際に移植を受けることができるのは半数程度にとどまっています。直近2022年の骨髄移植の実施例(非血縁者間)は1,055件となっています。提供者累計数の割合は30代が最も高いですが、近年高齢者の移植件数が増加しており、年間実績は、近年50歳以上の移植が約半数を占めています。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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