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医療用手袋の用途・種類と選び方

医療用手袋の用途・種類と選び方

医療用手袋の役割

医療従事者が手袋を着用する目的は、血液や体液、注射針やメスなどを介した感染・汚染リスクから医療従事者を守ること、医療従事者の手指を介して患者様に汚染物質が及ぶのを防ぐこと、そして医療現場の施設や物品が汚染されるリスクを減らすことにあります。
手袋は医療現場での用途別に、手術用、検査・検診用、その他の作業用の3つに大別できます。このうち手術用手袋は滅菌袋で密閉するなど適切な管理が必要なため「管理医療機器」とされ、製造・販売には第三者認証機関の認証が必要です。また検査・検診用手袋も「一般医療機器」の一つとして届出制がとられている物もあり、手術用手袋と同じく再使用が禁じられています。

材質

ディスポーザブル手袋は様々な材質の製品が出回っており、用途に応じて適切なものを選ぶ必要があります。医療現場で使われる手袋の代表的な材質としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ニトリル、天然ゴムラテックスの4つが挙げられます。
ポリ塩化ビニルは、一般にプラスチックグローブやビニール手袋と呼ばれるもので、一般的な衛生管理業務に使われます。また家庭で普及しているポリエチレングローブは、食品の配膳などに使う以外、医療現場での需要は比較的少なめです。一方、合成ゴムであるニトリルは、ラテックスグローブによるアレルギーを防ぐための代替品として近年大きく需要を伸ばしています。当社グループでもラテックスフリータイプの手袋をおすすめしています。
それぞれの特徴は表の通りです。

手袋の材質と一般的な特徴

プラスチック ゴム
原料 ポリ塩化ビニル ポリエチレン ニトリル(合成ゴム) 天然ゴムラテックス
防護効果 油、薬品、洗剤に強い。 油、薬品、洗剤に強い。 油、薬品、洗剤に強い。 油、薬品への防護効果は低め。
強度・耐久性 劣化しにくい。破損には弱い。 穴あきや破れに弱い。 丈夫で長時間作業に向く。 丈夫で長時間作業に向く。
作業性能 指の触覚を妨げにくく、細かい作業も可。
フタル酸含有のため食品適用不可。
手指にフィットしすぎず着脱が容易。 素手のようにフィットするため
細かい作業に最適。
伸縮性に優れ、手指にフィット。
ラテックスアレルギーのリスクがある。
価格 安価 最も安価 やや高め 安価
使用シーン 一般的な衛生管理 調理・配膳など 手術、検査検診 手術、検査検診

ラテックスアレルギーのページもご参照ください

なお、手袋製品には着脱をスムーズにするため内部にパウダーを付着させたものがあります。このパウダーに含まれる成分が人体に有害であることが明らかになり、厚生労働省は2016年からパウダーフリーを推奨するとともに、パウダーを使用した製品には使用上の注意を明記するよう通達しています。

手袋の規格基準

医療用手袋はわずかな破損も汚染リスクにつながるため、品質確保が非常に重要です。日本ではJIS規格(日本工業規格)に基づいた製造が行われています。
手袋の用途に応じて5つのJIS規格が設けられており、それぞれ寸法や伸び、ピンホール(穴あき)などの不良品率や耐久性について品質水準が決められています。

医療用手袋のJIS規格

JIS 用途 材質
JIS T9107 使い捨て手術用ゴム手袋 1種:
主に天然ゴムラテックス製
2種:
主にニトリルゴムラテックス、ポリクロロプレンゴムラテックス、ポリイソプレンゴムラテックス、スチレンブタジエンゴム溶液、スチレンブタジエンゴム乳濁液または熱可塑性エラストマ製
JIS T9113 使い捨て歯科用ゴム手袋 1種:
天然ゴムラテックスを主材料とするもの
2種:
合成ゴムラテックス、天然ゴム溶液または合成ゴム溶液を主材料とするもの
JIS T9114 使い捨て歯科用ビニル手袋 塩化ビニル樹脂及び可塑剤を主材料とするもの
JIS T9115 使い捨て検査・検診用ゴム手袋 1種:
天然ゴムラテックスを主材料とするもの
2種:
合成ゴムラテックス、天然ゴム溶液または合成ゴム溶液を主材料とするもの
JIS T9116 使い捨て検査・検診用ビニル手袋 塩化ビニル樹脂及び可塑剤を主材料とするもの

一方、世界的な標準化団体である米国試験材料協会(American Society of Testing and Materials International:ASTM)による規格もあります。こちらは水溶性タンパク質溶出量やパウダー残留量、劣化後の性能などを規定しており、日本で使われている製品の多くがこの規格にも準拠しています。

医療用手袋のASTM規格

ASTM 用途 材質
D3577 手術用ゴム手袋 ゴム(天然/合成)
D3578 検査用ゴム手袋 ゴム(天然/合成)
D6319 検診用ニトリル手袋 ニトリル
D5250 医療用ポリ塩化ビニル手袋 塩化ビニル

手袋の選び方

製品を選ぶ際には必ず適合用途の確認が必要です。
手術用手袋は体内組織に触れることを目的に作られており、必ず滅菌処理されています。また使用中の破損に備えて二重に装着することが望ましいとされます。一方、検査・検診用手袋には滅菌・非滅菌の両タイプがあり、検査や治療の内容に応じて使い分けが必要です。その他の多用途手袋は主に医療器具の洗浄や汚染物・廃棄物の処理などを使用目的とします。滅菌されていないのが普通で、粘膜や創部に触れる作業には使えません。
なお、どのタイプの手袋も、穴あきや破損の場合には速やかに交換する必要があります。