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公開日:2025.06.02
近年、医療技術の進歩により低侵襲治療が急速に発展し、多くの患者にとって負担の少ない選択肢となっています。従来の開腹手術では大きな傷口が避けられませんでしたが、低侵襲治療は最小限の切開で済み、回復期間を短縮できるため、患者の生活の質(QOL)の向上にも寄与します。低侵襲治療について2回にわたり解説します。第1回では、低侵襲治療の定義や歴史、対象となる病気、主な治療法について詳しく解説し、その進化の過程と今後の展望について考えます。
低侵襲治療とは、患者への負担を減らしながら病気を治療する医療技術の総称です。従来の外科手術に比べて小さな切開で済む方法や、切開を伴わない治療法を指します。「低侵襲」と呼ばれる理由は、傷口の大きさを抑え、痛みや出血を最小限にしながら治療を行うためです。つまり、患者様の身体に対する侵襲が低いという意味になります。
この治療法の導入によって、入院期間の短縮や術後の回復の早さ、感染リスクの低減といった多くのメリットが得られます。その結果、患者は早期に社会復帰でき、心理的・身体的負担の軽減が期待されます。
低侵襲治療の概念は比較的新しいものではありますが、長年にわたりさまざまな技術革新が行われてきました。1970年代には内視鏡技術が発展し、消化器系の検査が可能となったことで診断精度が向上し、より適切な治療が選択できるようになりました。1980年代になると、腹腔鏡手術が広まり、胆嚢摘出術をはじめとする低侵襲手術が一般化しました。さらに2000年代にはロボット支援手術が登場し、より精密な手術が可能となりました。現在ではカテーテル治療やナビゲーション技術の発展により、低侵襲治療の適用範囲が拡大しています。こうした技術革新により、患者の負担を軽減しつつ治療の質を向上させることが可能になりました。
低侵襲治療は、特定の疾患に適用されることで特に大きなメリットを発揮します。
〈脳神経外科疾患〉
内視鏡技術の進歩により高画質な視野確保と専用器具の開発が進み、脳腫瘍(下垂体腺腫など)に対しても小さな傷口で手術が可能
〈がん〉
内視鏡手術や放射線治療を活用することで、早期がんの治療に貢献
〈心疾患〉
カテーテル手術により、従来の開胸手術を回避しながら血管や弁膜症を修復
〈整形外科疾患〉
関節鏡を用いた手術により、関節炎や靱帯損傷の治療をより安全に行える
〈婦人科疾患〉
腹腔鏡を活用した子宮筋腫摘出術などが患者の負担を軽減
これらの疾患に対して低侵襲治療を適用することで、従来の治療法よりも短時間で回復し、合併症のリスクを軽減できる可能性が高まります。
低侵襲治療は主に以下のような方法に分類されます。
内視鏡手術:腹腔鏡や胸腔鏡などの内視鏡を用いて、小さな穴から細長い器具を挿入して行う手術です。高解像度カメラで術野を観察しながら、複数の小切開から専用の器具を操作します。通常の開腹・開胸手術と比べて回復が早く、創部の痛みも少ないのが特徴です。
ロボット支援手術:外科医が遠隔操作するロボットアームを用いた手術です。3D高解像度視野と精密な動きが可能なロボットアームにより、より繊細で複雑な手術が可能になりました。特に前立腺全摘出術や大腸がん手術などで普及しています。
カテーテル治療:血管内治療とも呼ばれ、細い管(カテーテル)を血管内に挿入して行う治療法です。経皮的冠動脈形成術(PCI)や脳動脈瘤コイル塞栓術などがあります。手術に比べて身体的負担が格段に小さく、高齢者や全身状態が不良な患者にも適用できる場合が多いです。
これらの治療法は、それぞれ特徴と適応を持ちながら、従来では困難だった治療を可能にしています。また、これらの技術は急速に進化し続けており、さらなる低侵襲化と精度向上が期待されています。これらの治療法は、それぞれの疾患や患者の状態に応じて適用され、より安全かつ効果的な治療を可能にしています。
低侵襲治療は、医療技術の進化とともに発展し、患者の負担を軽減する新たな治療選択肢として確立されてきました。今後もさらに技術革新が進み、より多くの疾患に対応できるようになるでしょう。患者にとってより安全で快適な治療が提供される未来が期待されます。
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