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新型コロナウイルスの変異の仕組みや「置き換わる」とは?

新型コロナウイルスの変異の仕組みや「置き換わる」とは?

公開日:2021.07.30

デルタ株と呼ばれる新型コロナウイルスの変異株が、世界各地で急速に広がっていますが、新型コロナウイルスはヒトからヒトに感染を広げるなかでなぜ変異を繰り返すのでしょうか。また、変異によってウイルスの性質がどのように変化するのでしょうか。新型コロナウイルスの変異の仕組みなどについてまとめます。

遺伝情報の変化が「変異」

ウイルスは生存戦略として自然界の変化する環境に適応するために、遺伝子を変化させるといわれています。ウイルスは細菌とは異なり自力では増殖できないので、ヒトや動物など他の生物の細胞の中に侵入し、自らの複製を作らせることで増えていきます。このとき、ウイルスの遺伝子が大量にコピーされます。

新型コロナウイルスの場合、何度もコピーを繰り返すうちに遺伝情報を受け持つRNAと呼ばれる物質の配列にごく小さなミスが起こります。このコピーミス、いわゆる遺伝情報の変化を「変異」と呼びます。RNAの文字が書き換わるとそこで指定されているアミノ酸基が変わり、タンパク質の形が変わることがあります。ウイルスはヒトからヒトに感染を広げるなかで少しずつ変異を起こしていきます。この変異したウイルスが変異株です。新型コロナウイルスは、約2週間に1箇所ほどの頻度で小さな変異が起こることが分かっています。昨年1月に中国・武漢で発見された新型コロナウイルスと比較して、現在のコロナウイルスは約20~30箇所の変異があると推測されています。

日本でも感染を繰り返す間に、新型コロナウイルスは少しずつ遺伝情報が変わってきましたが、変化してもウイルスの性質にあまり関係ない遺伝情報のコピーミスだったので、日本国内で変異株が問題になることはしばらくありませんでした。昨年秋に英国でより感染力の強い変異ウイルスアルファ株が見つかって、大きな問題に発展しました。

スパイクタンパク質の変異によって性質が変化

小さな変異でもウイルスの遺伝情報の重要な部分に起こると、ウイルスの性質が変化することがあります。変異株に共通しているのは、ウイルスの「スパイクタンパク質」という部分の遺伝情報に変異が起こっていることです。このスパイクタンパク質は新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する際の足場となる極めて重要な部位で、変異によって性質が変化することがあります。特に問題となるのは以下の3つです。①感染の広がりやすさ(伝播性):変異によってヒトの細胞表面にあるアンジオテンシン変換酵素2受容体により強固に結合するために、従来株と比べて感染力が増加します。②引き起こされる病気の重さ(病毒性):入院リスクあるいは入院時死亡リスクが高い可能性があるとされます。③ワクチンの効果の減弱化(免疫逃避):変異株によってはワクチン効果を弱める可能性が示されています。

感染力の強い変異株が国内に入ってくると、次第にその変異株に感染する割合が増えてきて、最終的にはほとんどが置き換わってしまいます。日本では、最初に入ってきた従来のウイルス(中国・武漢型)が広がりましたが、海外から感染力の強いアルファ株が入ってきて、それに置き換わりました。そして現在、さらに感染力が強いデルタ株に置き換わりつつあります。ウイルスが増殖しやすいように遺伝情報が変化したわけで、ある意味ウイルスの「進化」ともいえます。

デルタ株以上に感染力が強くなる可能性も

インフルエンザウイルスも通常マイナーチェンジだけの変異を繰り返していますが、数十年に一回、フルモデルチェンジの変異を起こすことがあります。従来鳥だけに感染していた鳥インフルエンザウイルスがこのフルモデルチェンジでヒトに感染するようになり、ヒトからヒトに感染するようになったのが新型インフルエンザウイルスです。

新型コロナウイルスは、デルタ株以上に感染力が強くなる可能性があると指摘する専門家もいます。変異ウイルスは増殖するときのコピーミスで出現しますので、コピーする回数を減らせば、変異する機会を減らすことになります。すなわち、感染拡大を抑制することが大切であり、感染対策の重要性はさらに増しているといえます。

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アソースナビ編集部

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