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新型コロナウイルス感染症対策として注目される遠隔ICU

新型コロナウイルス感染症対策として注目される遠隔ICU

今年の冬は、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が懸念され、入院患者数の増加が予想されます。このため、医療スタッフの人手不足が深刻化する恐れがあります。こうしたなか、集中治療室(ICU)をネットワークでつなぎ、遠隔地から専門医が診療をサポートする「遠隔ICU」の動きが始まっており、医療現場の負担軽減のほか、新型コロナウイルスの院内感染対策や治療への活用につながるものと期待されています。

院内感染防止に一役

遠隔ICUとは、離れた場所から集中治療専門医などが、常時ICUを支援し、現場から提供された心拍数や血圧、映像などのデータを分析しアドバイスを行うもので、現場の医療スタッフの負担を軽減するものです。

 フィリップス・ジャパンの「遠隔集中治療患者管理プログラム(eICU)」(図1)を導入している昭和大学では、本院支援センターと本院ICU/ERと江東豊洲病院ICU/ERをネットワークでつなぎ、計50床のICUベッドを本院の支援センターからモニタリングしています。患者ごとの緊急性や重症度、患者の体調変化などを分析、モニターに一覧表示し、支援センターのスタッフがすぐに状況を把握できるようになっています。支援センターで患者の容態が継続的にモニタリングいるほか、専門医が現場のスタッフに適宜アドバイスをするため、ICUスタッフの負担が軽減されるとともに、適切な早期治療が可能となります。

図1

 本院では、4月頃から新型コロナウイルスの重症患者が急増し、ECMO(体外式膜型人工肺)を使用するケースも増えました。遠隔からのモニタリングや支援センターからの的確な治療介入により医療従事者と患者の接触時間が短縮し、新型コロナウイルスの院内感染防止に役立っている、といいます。

安定的医療体制の確保を目指す

一方、神戸市は、新型コロナウイルス感染症患者の入院を受け入れる市内の医療機関約20施設にT-ICUが開発した「遠隔ICUシステム」を導入し、運用を進めています。オンラインでICU専門のドクターとつなぎ、遠隔地から医療サポートを可能とするもので、新型コロナ対応のアドバイスが受けられることや医療機関の新型コロナウイルス感染症患者受け入れに大きな偏りがないようにすることがねらいです(図2)。

図2

 ICU専門ドクターには新型コロナ診療の精通者がいて、治療方針やECMOの取り扱いなどが相談できます。また、遠隔アドバイスによって、軽症〜中等症は市内の民間病院などで対応してもらい、高次医療機関である神戸市立医療センター中央市民病院には重症患者だけに注力する態勢を構築したい考えです。
 今年の冬は、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザのどちらもが流行する可能性が高いと考えられ、医療態勢に危機感を抱く向きも少なくないとされます。医療スタッフの疲弊を回避する手立てが望まれるところです。