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新病院院長が語るこれからの戦略

専門特化した医療を目指

青森新都市病院院長

中島龍夫

1944年 北海道生まれ
1970年 慶應義塾大学医学部卒業
川崎市立川崎病院外科、群馬県立がんセンター頭頸科を経て
1988年 藤田保健衛生大学形成外科学教授
1998年 慶應義塾大学医学部形成外科教授
2010年 慶應義塾大学医学部名誉教授
2017年より現職。

【病院概要】
開院日:2017年5月1日
構造・階数:鉄骨造+一部鉄筋コンクリート造 地下1階、地上7階
病床数:高度治療病床8床、一般病床183床
診療科目:
外科系(脳神経外科、形成外科、整形外科、外科、消化器外科)
内科系(内科、消化器内科、循環器内科)
その他(リハビリテーション科、放射線腫瘍科、放射線科、歯科)

東北新幹線の新青森駅西側に最先端の医療機器を備えた急性期病院「青森新都市病院」が開院してから1年が経つ。200床弱の規模で得意分野である外科医療を前面に打ち出し、青函圏の地域医療を支える。院長を務める中島龍夫氏に自院をモデルケースに今後、中小規模病院が生き残る上での経営戦略を示唆する話を伺った。

得意分野である脳神経外科、形成外科を前面に

青森新都市病院は、函館市にある医療法人「雄心会」が青森市内の経営難に陥った2つの慢性期病院を統合して二次救命救急を担う急性期病院として昨年5月に開院しました。JR東北・北海道新幹線青森駅西口側にあり、地下1階地上7階の建物で、駅から徒歩で3分ほどです。診療科目は13科で、常勤医師16人を含む約400人体制で運営しています。

同法人の青森進出が伝えられた当時は市内の医療関係者より「患者が囲い込まれる」などと懸念する声がありましたが、市内の医師・看護師に直接お声かけして、県民のために一緒に協力し、地元医療機関とよく相談しながら医療連携を進めていくという方向で理解が得られました。
病床は191床(集中治療病床8床、一般183床)と中小規模ですので、大規模病院のようになんでも揃っているデパートのようなものではなく、専門に特化した医療を打ち出す戦略を考えました。同法人の得意分野である脳神経外科ならびにリハビリテーション科や青森県には少ない形成外科、脊椎脊髄疾患に強い整形外科などに特色をもたせました。今後の病院運営を考える上では、地域の医療需要や病院の規模に見合った機能を選択することが一層重要になってくるのではないでしょうか。とりわけ、中小規模病院が地域密着型の病院を目指す場合、急性期医療に加え、急性期後の受け入れやリハビリ機能を担うことも求められるでしょう。

最新機器導入でリクルートがスムーズに

専門領域に特化するために多額の費用を投資して最新の医療機器を取り揃えました。どの部位にも高精度に放射線を照射できる世界最高レベルの癌治療装置「ノバリス」、次世代レーザーとして注目を集めているピコ秒レーザー、3.0Tの最新鋭で、無音のサイレントスキャンを採用しているMRI、64列マルチスライスCT、磁気によって大脳を刺激するTMS(経頭蓋刺激)装置、下肢に装着して使用するリハビリテーションロボットなどです。

最新機器の導入は、意外にもドクターのリクルートに大きく役立ちました。地方では医師不足が深刻な問題となっていますが、高度な医療機器を使いこなすスペシャリストを目指したいという若手のドクターのニーズが高かったのです。地方勤務に魅力を感じられる部分があれば地域で働く医師を増やせるかもしれません。ドクターはUターンの採用も含め全国の様々な大学から集まりましたので特定の学閥はありません。いわゆる個性豊かな野武士の集団みたいなもので、お互い自由なディスカッションを交わせる雰囲気があり、そこで良いアイディアが生まれたりします。私自身は典型的な学閥の世界の中で長年過ごしてきましたので、多様性によるダイナミズムなものに新鮮さを感じます。学閥があると、特定の大学病院からドクターが派遣されるケースが多く、1〜2年で担当医師がくるくる変わり、患者に不安感を与えてしまうことがあります。我々の病院はそのような弊害はなく、ドクターがしっかりとした対人関係を築いた上で診療ができます。また、医師、看護師、薬剤師をはじめとした医療専門職が「チーム医療」で対応します。

青森新都市病院は、青森市内の2つの慢性期病院を統合して二次救命救急を担う急性期病院としてスタートしましたので、病院スタッフは当初、急性期医療への対応、すなわちフレッシュな疾患を治すという意識に戸惑うところがありました。青森の方言で「じょっぱり」(強情っぱり)という言葉が青森県民の気質として知られていますが、膝を交えじっくり時間、回数をかけて話をすることで、こちらの考えを受け入れ、納得していただいた経緯があります。一度十分な理解を得られると、積極果敢に課題に取り組んでくれます。

救急搬送は年間1千件超え

外来・入院患者数とも順調に増えております。また、24時間対応の救急医療にも力を入れており、過去1年間で搬送数は1,000件を超えました。特に脳神経外科は毎日対応できる体制をとっており、脳卒中など緊急の疾患や交通事故などに迅速かつ的確な処置を行う体制を整えています。

青森県の東部地区には県立病院や市立病院など多くの病院がありますが、西部地区の医療圏はこれまで手薄でした。形成外科のある病院も皆無でした。県全体の地域医療の充実を考えた上での御配慮と思いますが、県立病院からは「人手が足りない時には援軍を出してもよいですよ」という申し出をいただいております。
我々の病院としても他医療機関の充足されていない部分を補っていく役割を担えればと思い、そうした形で他医療機関と連携できればと考えています。

内科系の充実が課題

青森新都市病院の今後の課題としては、内科系ドクターの充実を図りたいということです。青森県は糖尿病死亡率全国ワースト1位であり、糖尿病の重症化対策が急務とされます。内科医は現在2名なので増員を考えています。内科系ドクターは、研究論文を発表するなどアカデミックな世界から離れることを嫌うので、なかなかリクルートしづらい面があります。
また、我々の病院は、高度医療機器が揃っていることから、住民から「特別な人たちの診療を行う病院」という誤った認識が生じていることが課題です。そうした敷居が高いという認識を払拭するため、一般向けの市民公開講座などを頻繁に開いて、「身近に感じられる病院」をアピールしていきたいと思っています。

青森新都市病院院長  中島龍夫

青森新都市病院院長

中島龍夫

1944年 北海道生まれ
1970年 慶應義塾大学医学部卒業
川崎市立川崎病院外科、群馬県立がんセンター頭頸科を経て
1988年 藤田保健衛生大学形成外科学教授
1998年 慶應義塾大学医学部形成外科教授
2010年 慶應義塾大学医学部名誉教授
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