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ストーマ管理に高齢化の影響
訪問看護も視野に

ストーマ保有者(オストメイト)にとって、ハンディキャップを最小限にして通常の生活を営むことが大切なことであり、ストーマケアには、生涯にわたるフォローが求められる。友愛記念病院(茨城県古河市)のストーマケア外来でオストメイトの相談に応じている看護部副主任(皮膚・排泄ケア認定看護師)の飯ケ谷美恵氏(写真)にストーマケアの現状やオストメイトのQOL向上のための課題などについて聞いた。また、文末にオストメイトにとって身近な存在である販売店の役割についてまとめた。

ストーマケア外来では時間をかけて対応

オストメイトの数は20万人とも言われているが、適切なストーマケアを受けられず、便漏やそれに伴う皮膚障害、臭いに悩まされる患者は少なくないとされる。こうしたトラブルを回避し安心して生活できるよう、友愛記念病院では20年前からストーマ外来を毎週火曜日の午後に開いている。消化管と尿路のオストメイトを対象としているが、多くは、同病院で消化管のストーマ造設術を受けた患者という。外来では、患者一人に対して、1時間程度かけて皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)の資格を持つ飯ケ谷氏が中心となり、装具の交換や皮膚ケア、日常生活の問題などについて相談に応じている。

外来当日は、患者に装具を持参してもらい交換し、ストーマ周辺の皮膚の部位の観察なども含めトラブルの状況を確かめる。

相談が多いのは、装具の剥れや排泄物の漏れ、ストーマ周辺の皮膚のただれなど日常ケアに関する悩みという。

高齢者にはできるだけシンプルにアドバイス

最近の傾向として飯ケ谷氏は「高齢化に伴い、ストーマ管理に大きな不安を抱えている患者が増えている」と指摘する。例えば、高齢となり指先の力が弱くなることで、面板とストーマ袋が別々に分かれているツーピース装具(二品系)のはめ合わせがうまくできなくなる場合がみられる。そうした場合は、指で押すものではなくテープ状で固着させる粘着式などに変えることを検討するという。旧来の装具を使っている高齢者には、新しい情報が伝えられていない状況があるようだ。高齢や認知症などにより患者自身での管理が困難となり、家族の方に介助してもらうケースもみられる。なかでも一人暮らしや夫婦ともに高齢の場合は介助も難しく、「訪問看護などを活用できるように情報提供を行い介入している」と飯ケ谷氏は言う。今後、在宅でケアを受けるオストメイトの増加が予想され、在宅でのストーマケアの質の向上が求められる。そのためには、地域の介護職やケアマネージャーとの連携強化が不可欠になる。

飯ケ谷氏は「高齢者が装具のトラブルなどで受診した場合は、なるべくご本人が使い慣れた装具を継続する方向で検討する。患者側からもそのような意向が強いと感じている。そしてできるだけシンプルに1つ工夫を付け加えることなどを心掛けている」と話す。

体型の変化には装具の見直しも

皮膚トラブルの原因は、面板への排泄物の付着や、面板と皮膚の隙間に排泄物が潜り込むことによるもので、ストーマサイズと面板ストーマ孔のアンバランス(隙間の広すぎ、狭すぎ)が原因で起こるという。このような場合は、ストーマサイズに合わせて面板のスマート孔をカットするなどのアドバイスを行う。

体重の増減や加齢に伴い体型が変化することにより、腹部の圧や皮膚の張りの変化が生ずる。そのことにより、ストーマの形が変化したり、シワや窪みが生じることがあり、装具が合わなくなるという相談も少なくないという。そうした場合は、装具の見直しも含め、検討する。永久的なストーマ患者については、各市区町村より日常生活用具として社会保障制度に基づく給付金が受けられる。自治体によっても異なるが、古河市では月8千円程度とされる。装具の改良も進み、最近は皮膚に優しい装具も開発されている。

公益社団法人日本オストミー協会は、オストメイトの支援活動をしており、ストーマ装具の給付制度やオストメイト対応トイレの普及など、福祉制度の充実のための活動をしている。オストメイト対応トイレの所在はWEBサイトによる検索もできるようになっている。協会のWEBサイトには患者に役立つ情報があるので、飯ケ谷氏は「上手に活用してほしい」と話している。

患者相談や災害時支援に一役

オストメイトの装具に関する相談先は、WOCNとともに販売店が多いとされ、オストメイトにとって身近な存在といえる。協和医科器械(静岡県静岡市)の場合、オストメイトからの相談内容は、装具の交換方法や不具合、日常生活における悩みなど多岐にわたり、患者との会話の中から解決策を見出すよう心がけているという。また、地元の静岡市では、日常生活用具給付制度の他に地震防災用具としてストーマ製品の給付制度(5年に一度、限度額5万円)があり、災害時の備え、備蓄方法についても情報提供している。

一方、ストーマ造設後、自宅で発生した装具トラブルなどに対応するためスタッフによる在宅訪問を無料で実施しているのが、栗原医療器械店(群馬県太田市)である。装具の使用方法や日常生活用具給付制度などの手続きのサポート、患者会の紹介なども合わせて行なっているという。皮膚トラブルについてはストーマ外来の受診を勧めている。その後の相談は同社のオストミー専用フリーダイヤルに連絡してもらい、コールデスク担当者が対応するシステムをとっている。入電数は1日約300件にも上るという。

両社とも、医療機関を定期的に訪問し、WOCNと患者情報の共有に努めており、オストメイト支援の役割の一端を担っている。

ストーマ装具

オストメイトトイレ例

国立新美術館のオストメイト対応トイレ
出典:総務省報道資料より

オストメイト用設備マーク
出典:障碍者に関係するマークの一例(内閣府)
取材協力
■協和医科器械株式会社 ベネッセレ静岡所長 相模佳美氏
■株式会社栗原医療器械店 ヘルスケア事業本部 ホームメディカルサポート営業部部長 岩崎優子氏