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特 集

医療機関の取り組みに合致しやすいSDGsの理念

現在の活動を17項目に照らし、新たな目標設定へ

国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、医療機関でも取り組むケースが増えてきた。ここでは、2018年に「ジャパンSDGsアワード」特別賞を医療機関として初めて受賞した産科婦人科舘出張 佐藤病院(群馬県高崎市)の取り組みをもとに、医療機関としてのSDGsの達成に向けた活動について考える。

医療機関の取り組みに合致しやすいSDGsの理念 現在の活動を17項目に照らし、新たな目標設定へ

公的病院から個人医院まで広がる

SDGsは“Sustainable Development Goals”の略で、国連に加盟する193か国が2015年から2030年の15年間で達成するために掲げた、国際社会共通の目標である。2015年9月の国連でのサミットで定められた。貧困や飢餓対策、健康・福祉など全部で17のゴール(図1)と169のターゲット(達成基準)で構成されている。

SDGsの達成に取り組む医療機関は増加しており、日本赤十字社、恩賜財団済生会など公的病院の組織から、国公私立の大学病院、医療法人や社会福祉法人、さらに個人の医院・歯科医院など小規模な医療機関も取り組みを表明している。

17のゴールのうちの1つである「3.すべての人に健康と福祉を」はすべての医療機関が目指すべき達成目標であるが、それ以外では、「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」の達成を目指し、ペットボトルキャップ回収によるワクチン支援、診療車のアイドリングストップや電気自動車の導入によるエネルギーロスの軽減などの活動が行われている。他にも、「12.つくる責任 つかう責任」として、地場産食材を使用し地産地消を意識した病院食の提供、災害用備蓄食材を定期利用し賞味期限切れによる廃棄をなくす、といった活動もある。

生涯にわたり女性の健康をサポート

このように各病院で取り組みが行われる中、産科婦人科舘出張 佐藤病院では、特色ある取り組みが行われている。

佐藤病院は江戸時代から約270年の歴史を持つ産婦人科病院で、年間約1,500件の分娩、約100件の腹腔鏡手術を実施し、不妊治療も行っている。また子宮頸がん予防啓発のNPO法人や、母親を支援する一般社団法人も同院のグループとして活動している。この「全ての女性が健康である社会づくりに、女性の生涯にわたる専門病院として貢献」していることが評価され、2018年には第2回ジャパンSDGsアワードにおいて「SDGsパートナーシップ賞(特別賞)」を受賞した。これは、首相官邸に設置されたSDGs推進本部が、優れた取り組みを行う企業や団体を毎年表彰しているものだ。

佐藤病院のウェブサイトには、SDGsの達成に向けた同院の取り組みがシンプルに示されている(図2)。産婦人科病院として「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を実現しよう」の目標を主軸とし、自治体や地元の教育機関、企業などとの連携により、目標達成に向けた活動を行っていることが分かる。

面白いのは、いずれもSDGsの達成を意識して始めた活動ではないということだ。これまでに行ってきた様々な取り組みが、自然とその理念に重なることに気づいたという。長年の活動が結果としてSDGsという理念に集約されたといえそうだ。

目標に向けた実績の蓄積が重要に

医療機関のこうした取り組みが増える現状について、ある病院経営者は「SDGsをキーワードに、病院の運営を一から洗い直すことが重要」と話す。医師や看護師、コメディカル、事務スタッフらが、自ら日常業務を見直し、医療者として患者・家族や地域にどう貢献していくかを考える機会にすべきだという。

佐藤病院ではSDGsの存在を知ったことをきっかけに、「全ての女性が健康である社会と健康な次世代の創出」という理念のもとに実践してきた取り組みの振り返りを行った。そして、新たに何かを始めるのではなく、既存の取り組みに足りないものを見出し、それを付け加えることで、達成のための目標を明確にしたという。言葉や概念ではなく、目標を持って日々の実績を積み重ねていくことが、自ら掲げたSDGsの目標の達成に重要といえるだろう。