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特 集

COVID-19下の健康診断・検診の対応

三密回避、換気の徹底で受診者の理解を得る

新型コロナウイルスの感染拡大により、健康診断やがん検診の受診者数が大きく減っている。健診施設や病院では感染対策を徹底しているにもかかわらず、減った受診者数は元に戻っていない。受診を促す活動が改めて必要になるだろう。

COVID-19下の健康診断・検診の対応 三密回避、換気の徹底で受診者の理解を得る

健診受診者は前年比3分の2に減少

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、健康診断やがん検診の受診者数が大幅に減少している。日本総合健診医学会と全国労働衛生団体連合会が会員施設を対象に行った調査では、2020年1~9月までの健康診断受診者数は約1,400万人で、前年同期の約2,100万人と比較して約700万人減少したことが分かった(図)。また、日本対がん協会、結核予防会、予防医学事業中央会の合同調査では、2020年2~7月のがん検診や特定健診などの健診受診者は、施設健診では前年比76.4%、巡回健診では56.4%にまで落ち込んだことが明らかになった。

逆に健診を行う施設側を見ると、総合健診医学会では、2020年4月の緊急事態宣言後に対象地域の健診施設に業務の一時休止の協力を要請し、それに応じて健診を完全休止した施設が38.9%、一部休止した施設が46%に上った。これにより4~5月には8割近い受診者の大幅減があり、その後、健診施設数は前年比9割近くに回復したものの、受診者数は元に戻っていない。

総合健診医学会は、COVID-19の流行初期からいち早く受診者と職員ともに手洗いやアルコールによる手指消毒の徹底とマスクの着用、十分な換気を軸とする感染防止対策を呼びかけた。また、対がん協会などの支部では、新型コロナウイルス感染の対策マニュアルや、受診者やスタッフに感染者が出た時の対応策を整備するなど、受診者の不安を和らげる対策を施し、受診者数回復のため努力を続けている。

日本総合健診医学会、全国労働衛生団体連合会 月別健診実施数累計

非受診者の健康への悪影響

健診などの受診者の減少には様々な懸念がある。対がん協会は「がんの治療では、早期発見・早期治療が重要。もともと日本のがん検診の受診率は低い上に、がん検診の受診者が大幅に減ったことで、早期発見数がさらに減る恐れがある。検診を受けないことでコロナへの感染リスクを減らせても、その間にがんが進行していては本末転倒」と不安視する。

一方、自粛生活が長引くことで、健康への影響が生じた可能性も示唆されている。新潟県労働衛生医学協会では、外出自粛期間明けの2020年5月に人間ドックや定期健診を受診した約2万9,000人のうち、2018年、19年も受診した4,634人を対象に健診データの変化を調査した。その結果、多くの項目で異常率が増加しており、中でも血圧、中性脂肪、肝機能の異常が目立った。問診では外出自粛期間の影響で運動不足になり体重が増えたと話す受診者が多く、同協会では「緊急事態宣言解除後も、外出の自粛や慣れないテレワークによるストレスや運動不足のために、生活習慣への影響が続いている可能性がある。体に異常が起きていないか確認するためにも健診を早めに受診してほしい」としている。

健診施設がやるべきこと

COVID-19の流行拡大対策では、高齢者などハイリスク者への感染防止が重要となるが、高齢者の過剰な自粛による弊害を指摘する声もある。コロナが怖い、家に閉じこもる、筋肉が衰え他人とのコミュニケーションも減ってフレイルになる、免疫力が低下して感染リスクが高まるという悪循環もその一つ。健康診断は高齢者の外出を促すきっかけになるだけに、その動機付けが重要といえる。

総合健診医学会では、受診者と職員の安全を確保するためのチェックリストを作り、それに沿った感染対策を実施している施設には「新型コロナウイルス感染防止対策実施施設」を証明するポスターを発行し、受診を迷う人に安心して健診を受けられることを明示している。

対がん協会では、「コロナ下でも『がん検診』は必要です!!」というチラシを作成し、がん検診の必要性と、検診施設が講じる十分な感染防止策を伝えて受診勧奨をしている。三密を回避するために、休日検診、早朝検診、予約制の導入などを行う施設も増えているという。

検診は、種々の疾患の予防や早期発見・治療に有効であるだけに、感染防止対策の徹底を継続しながら、安全・安心な健診を実施する地道な努力が引き続き求められている。